ランウェイで笑って

少年漫画にもかかわらず(思いっきり少女マンガの絵ですけど作者は男性で少年誌連載です)、ファッション、それもデザイナーズブランドを真面目に描いている漫画。そして、熱量が熱い。多くの名作がそうであったように、天才型と努力型の人間が凌ぎを削る王道のストーリー展開なので誰が読んでも(もちろんファッションに興味のない人間でも)面白いはずだ。
ただ、今のファストファッション全盛の時代、デザイナーズブランドはきちんと収益を得てブランドを運営していく頭脳が必要である。ファッションが好きで夢を追うだけでは成功するはずがないのである。そのために金融だとかファンドだとかも超重要だったりするのだが、その前にまずは商品をしっかりと売る必要がある。モードとは大多数の一般人からはボロクソに批評されようと、特定の人からは強烈に支持されなくてはならない。例えばヴェトモンのように。もしくはコムデギャルソン社の売り方なども物凄く頭が良いので参考にした方が良いはずだ。
今の時代にデザイナーズブランドを続けるためには、まず、物作りを続ける為の利益を確保する為に「しっかり売ること」と「一部の強烈なファンを作ること」を作品作りと並行して出来なければならない。ただ、自分の好きな作品を作っているだけでは専門学生と何も変わらない。そして、案外こういったことは専門学校では誰も教えてくれない。
この漫画を読んでファッション業界に憧れを持つ子供たちもきっと増えると思う。だからこそ、そのあたりのことを踏まえて今後作者には描いていってもらいたいと期待している。
あと、これはファッション好きからの苦言になってしまうのだが、登場するファッションがどれも絶妙にダサいのが気になる。ファッション業界の評判も良いらしいのだから、例えばスタイリストとタッグを組んで描いていった方がより良くなると思います。


ランウェイで笑って(1) (週刊少年マガジンコミックス)

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