ソフィ・カル展 / 豊田市美術館


原美術館からの巡回で、豊田市美術館にてソフィ・カル展が開催中。あんな小さい会場の展示を、この巨大な箱でどう展示するのか気になりながら向かった。結果、なるほどねって感じ。とても美しかったです。
ソフィ・カルは1953年、パリ生まれ。写真と言葉を組み合わせた作品を作る写真家。
今回の展覧会は3部構成。第1部は、生まれつき目の見えない盲人の人々に「あなたが今まで見た一番美しかったものは何か?」と問い掛け、インタビューした人の肖像写真と受け答えの文章、それにちなんだ写真で構成した作品群が並ぶ。とれも大変興味深い解答と共に、美しい写真が並ぶ。
第2部では、人生の途中で視力を失った盲人の人々にインタビューし、同様に写真と文章で構成した作品群、「最後に見たもの」が作品として構成されていく。ここでも、インタビューの解答の内容とは対照的に美しいポートレートの数々が。
写真と文章を見比べると、言葉で表現される彼らのイメージや記憶は、写真に写し目で見ることができる景色以上の衝撃と豊かさを持っていると気付かされる。
第3部では、内陸部に住み、貧困や身体の不自由などが原因で今まで海を見たことがない人々を海に連れて行き、初めて海を見た瞬間を映像に捉えた作品。思わず、映画「ノッキン・オン・ヘヴンズドア」を思い出してしまう人は、僕以外にも沢山いると思う。
本物の海を前に言葉を失ったり、涙を流したり、波と戯れたりする人々。しかし、その瞬間を捉えるアングルが、ソフィ・カルらしいあくまで「他人」の緊張感を持ったアングルで撮影されており、とてもよかった。
とても美しい展示だったので、皆さまも是非、会場でご体験を。



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